2026年8月28日

血圧を測ったときに、
「上の血圧は正常なのに、下の血圧だけ90を超えている」
「毎回、下の血圧だけ高い」
「下が90や100なのは危険なの?」
と気になったことはありませんか?
血圧には「上の血圧」と「下の血圧」があり、下の血圧は「拡張期血圧」と呼ばれます。
上の血圧がそれほど高くなくても、下の血圧が高い状態が続いている場合には注意が必要です。
日本高血圧学会では、診察室で測定した血圧について、上の血圧が140mmHg以上、または下の血圧が90mmHg以上の場合を高血圧の基準としています。
つまり、「上は140未満だから大丈夫」とは限りません。
この記事では、下の血圧だけが高くなる原因や、下が90・100の場合の考え方、受診した方がよい目安について解説します。
この記事のポイント
・下の血圧は「拡張期血圧」と呼ばれます
・診察室血圧では、下が90mmHg以上の場合も高血圧の基準に該当します
・自宅で測る家庭血圧では、下が85mmHg以上の場合に注意が必要です
・肥満、塩分の摂り過ぎ、飲酒、喫煙、ストレスなどが関係することがあります
・下の血圧だけが高い状態が続く場合は、内科・循環器内科へ相談しましょう
「上の血圧」と「下の血圧」は何が違う?
血圧を測ると、「130/90mmHg」のように2つの数字が表示されます。
この2つの数字には、それぞれ異なる意味があります。
上の血圧(収縮期血圧)
心臓が収縮して血液を全身へ送り出したときに、血管へかかる圧力です。
「最高血圧」と呼ばれることもあります。
下の血圧(拡張期血圧)
心臓が広がり、次に送り出す血液をためているときに血管へかかっている圧力です。
「最低血圧」と呼ばれることもあります。
例えば「130/95mmHg」であれば、上の血圧は130mmHg、下の血圧は95mmHgです。
この場合、上の血圧は140mmHg未満ですが、下の血圧が90mmHg以上であるため、高血圧の基準に該当します。
下の血圧はいくつから高い?
日本高血圧学会では、医療機関の診察室で測定した血圧について、
上の血圧140mmHg以上、または下の血圧90mmHg以上
を高血圧の診断基準としています。
つまり、上と下の両方が高くなければ高血圧にならないわけではありません。
例えば、
・125/92mmHg
・135/95mmHg
・138/100mmHg
などの場合、上の血圧が140未満でも、下の血圧が高血圧の基準を超えています。
一方、自宅で測定する「家庭血圧」では、一般的に135/85mmHg以上が高血圧の基準です。
そのため、自宅で測った下の血圧が85mmHg以上の状態が続いている場合にも注意が必要です。日本高血圧学会は、診察室140/90mmHg以上を高血圧の基準としており、家庭血圧も高血圧の診断・治療に重要としています。
下の血圧だけが高い状態とは?
上の血圧が高血圧の基準を超えていない一方で、下の血圧が高い状態を「拡張期高血圧」などと呼ぶことがあります。
血圧は、
・心臓から送り出される血液の量
・血管の硬さ
・細い血管の収縮
・体内の水分量
・自律神経
など、さまざまな要因によって決まります。
特に下の血圧には、全身の細い血管による「血管抵抗」が関係しています。
細い血管が収縮して血液が流れにくくなると、心臓が拡張している間にも血管内の圧力が下がりにくくなり、下の血圧が高くなることがあります。
下の血圧だけ高くなる主な原因
下の血圧が高くなる背景には、さまざまな要因があります。
1.塩分の摂り過ぎ
塩分を多く摂ると、体内にナトリウムと水分がたまりやすくなり、血液量が増えることで血圧が上昇しやすくなります。
日本高血圧学会では、高血圧の方について食塩摂取量を1日6g未満にすることを推奨しています。
ラーメンやうどんの汁、漬物、加工食品、惣菜などを頻繁に食べる方は、自覚している以上に塩分を摂取していることがあります。
2.肥満・体重増加
肥満、特に内臓脂肪の増加は高血圧と深く関係しています。
体重が増えることで心臓が送り出す血液量が増えたり、自律神経やホルモンの働きによって血管が収縮しやすくなったりすることがあります。
「最近体重が増えてから下の血圧も高くなった」という場合には、体重との関係も確認してみましょう。
3.運動不足
運動不足も、高血圧につながる生活習慣の一つです。
適度な運動は体重管理だけでなく、血管や自律神経の働きを整えるうえでも重要です。
ただし、血圧が非常に高い方や心臓病などをお持ちの方は、自己判断で激しい運動を始めず、医師へ相談してください。
4.過度な飲酒
お酒を多く飲む習慣は、血圧上昇の原因となります。
毎日の飲酒量が多い場合や、休肝日がほとんどない場合には、飲酒習慣を見直すことも血圧管理の一つです。
5.喫煙
喫煙すると、ニコチンなどの作用によって交感神経が刺激され、血管が収縮します。
高血圧だけでなく、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などのリスクにも関係するため、禁煙することが重要です。
6.ストレスや睡眠不足
強いストレスや睡眠不足が続くと、交感神経が活発になり、血管が収縮して血圧が上昇することがあります。
仕事が忙しい時期や睡眠時間が短い時期だけ血圧が高くなる方もいます。
ただし、「ストレスのせいだろう」と決めつけて、高い血圧を放置しないことも重要です。
7.睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に呼吸が繰り返し止まる睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、高血圧と密接に関係しています。
特に、
・大きないびきをかく
・睡眠中に呼吸が止まると言われた
・朝起きたときに頭痛がある
・日中に強い眠気がある
・降圧薬を飲んでも血圧が下がりにくい
といった方では、睡眠時無呼吸症候群が隠れていないか確認することがあります。
30代・40代では下の血圧だけ高くなることもあります
「高血圧は高齢者の病気」というイメージをお持ちの方もいるかもしれません。
しかし、比較的若い年代でも下の血圧が高くなることがあります。
若年~中年層では、大きな動脈の硬化がそれほど進んでいない一方、肥満や塩分過多、交感神経の活性化などによって末梢の血管抵抗が高くなり、下の血圧が目立って上昇するケースがあります。
そのため、
「まだ30代だから大丈夫」
「40代だから薬を飲むほどではないだろう」
と年齢だけで判断するのはおすすめできません。
血圧の数値や家庭血圧、その他の心血管リスクを総合的に確認することが大切です。
女性で下の血圧が高い場合は?
女性でも、肥満、塩分摂取、運動不足、睡眠不足、ストレスなどによって下の血圧が高くなることがあります。
また、40代~50代では更年期に伴う身体の変化とともに、血圧が上昇してくる方もいます。
女性ホルモンの変化だけが血圧上昇の原因とは限らないため、「更年期だから仕方がない」と考えるのではなく、家庭血圧を記録し、必要に応じて医療機関で相談しましょう。
下の血圧90は危険?
診察室で測った下の血圧が90mmHg以上の場合、高血圧の診断基準に該当します。
ただし、1回90mmHgを記録しただけで、すぐに高血圧と確定するわけではありません。
血圧は、
・緊張
・運動
・寒さ
・睡眠不足
・飲酒
・喫煙
・カフェイン
・測定方法
などによって変動します。
そのため、家庭でも繰り返し血圧を測定し、普段の血圧を確認することが重要です。
例えば診察室では、
135/92mmHg
だったとしても、自宅で毎日測定すると、
120~125/75~80mmHg
程度で安定しているケースもあります。
一方、病院では正常でも自宅では高い「仮面高血圧」もあります。
医療機関での血圧だけでなく、家庭血圧を確認することが大切です。
下の血圧100以上なら受診した方がいい?
下の血圧が100mmHg以上の場合には、より早めに医療機関へ相談することをおすすめします。
日本高血圧学会では、
上の血圧160mmHg以上、または下の血圧100mmHg以上
の場合、速やかな医療機関への受診を勧めています。
特に、
・下の血圧100以上が何度測っても続く
・上の血圧も160以上ある
・糖尿病がある
・腎臓病がある
・心臓病がある
・脳卒中になったことがある
という方は、自己判断で様子を見続けないようにしましょう。
下の血圧が高いとどのようなリスクがある?
高血圧を長期間放置すると、血管に負担がかかり続けます。
その結果、
・脳卒中
・心筋梗塞
・狭心症
・心不全
・慢性腎臓病
などのリスクにつながります。
日本高血圧学会も、高血圧は将来の脳卒中・心臓病・腎臓病などの発症リスクを高めるとしています。
大切なのは、「上と下のどちらが高いか」だけではなく、血圧が高い状態を長期間放置しないことです。
下の血圧を下げるには?
下の血圧が高い場合も、高血圧の基本的な対策は同じです。
減塩する
高血圧の方では、食塩摂取量1日6g未満が目標です。
「料理に塩を追加しない」だけでなく、
・麺類の汁を残す
・漬物を食べ過ぎない
・ハムやソーセージなどの加工食品を控える
・惣菜や外食の頻度を見直す
・調味料をかけるのではなく少量つける
などを意識してみましょう。
適度な運動を行う
ウォーキングなどの有酸素運動を継続することは、血圧管理に役立ちます。
運動習慣がない方は、無理のない範囲から始めましょう。
適正体重を目指す
肥満がある場合には、体重を減らすことで血圧が改善することがあります。
短期間で大幅に体重を落とすのではなく、継続できる食事・運動習慣をつくることが大切です。
飲酒量を見直す
飲酒量が多い方は、節酒によって血圧が改善することがあります。
禁煙する
喫煙は血管を収縮させるだけでなく、心臓・血管の病気のリスクそのものを高めます。
睡眠を見直す
睡眠不足が続いている方や、いびき・無呼吸を指摘されている方では、睡眠の状態についても確認してみましょう。
日本高血圧学会は、減塩・運動・肥満の是正・節酒などの生活習慣改善によって血圧を下げられるとしています。
下の血圧が高ければ薬を飲む必要がある?
「下が90を超えたら必ず薬」というわけではありません。
薬物療法が必要かどうかは、
・家庭血圧
・血圧の高さ
・年齢
・糖尿病
・腎臓病
・脂質異常症
・喫煙歴
・脳卒中や心臓病の既往
などを総合的に評価して判断します。
生活習慣の改善を行いながら経過を見る場合もあれば、心血管リスクが高い方では早めに降圧薬による治療を検討することもあります。
自己判断で薬の服用を開始したり、反対に必要な治療を先延ばしにしたりせず、医師へ相談しましょう。
家庭血圧を測ってみましょう
下の血圧が高い方には、家庭での血圧測定をおすすめします。
医療機関で測る血圧だけでは、普段の血圧を十分に把握できないことがあります。
自宅では、
・朝
・夜
など決まったタイミングで測り、記録しておきましょう。
特に朝の血圧は重要です。
数日~1週間程度の記録を受診時に持参すると、医師が普段の血圧を判断するための重要な情報になります。
下の血圧が高い場合は何科を受診する?
下の血圧が高い場合は、内科または循環器内科へ相談してください。
特に、
・下の血圧が90以上の状態が続いている
・下の血圧が100以上ある
・上の血圧も高い
・動悸がある
・胸の痛みがある
・息切れがある
・糖尿病や脂質異常症もある
といった方では、心臓や血管の状態も含めて確認することが大切です。
芦屋ながさわ内科では、循環器専門医が高血圧をはじめとした生活習慣病や心臓・血管の病気について診療しています。
よくある質問
上の血圧が正常なら、下の血圧が90でも大丈夫ですか?
診察室で下の血圧が90mmHg以上の場合、上の血圧が140mmHg未満であっても高血圧の基準に該当します。
1回の測定だけではなく、家庭血圧を継続して確認してください。
下の血圧が80台なら大丈夫ですか?
医療機関での血圧と家庭血圧では基準が異なります。
また、日本高血圧学会の2025年ガイドラインでは、高血圧患者の降圧目標として原則130/80mmHg未満が示されています。すでに高血圧の治療を受けている方は、自己判断ではなく医師から指示された目標値を参考にしてください。
下の血圧だけ高いのはストレスが原因ですか?
ストレスによって一時的に血圧が上がることはありますが、それだけが原因とは限りません。
肥満、塩分摂取、飲酒、睡眠、腎臓やホルモンの病気など、さまざまな要因が考えられます。
下の血圧100はすぐ受診した方がいいですか?
下の血圧100mmHg以上は、速やかな医療機関への受診が推奨される目安の一つです。
繰り返し測定しても100以上の場合には、医療機関へ相談しましょう。
下の血圧をすぐ下げる方法はありますか?
自己流で急激に血圧を下げようとすることはおすすめできません。
血圧が高い場合には、まず正しい方法で再度測定し、非常に高い状態が続いている場合や症状を伴う場合には医療機関へ相談してください。
下の血圧が高い状態が続く方は芦屋ながさわ内科へ
「上の血圧は普通だから問題ない」と思っていたものの、よく見ると下の血圧が毎回90以上だった、という方は少なくありません。
下の血圧だけが高い場合でも、高血圧の基準に該当することがあります。
特に、
「下が90以上の日が続いている」
「下が100を超えることがある」
「健診で血圧を指摘された」
「家庭血圧も高い」
「高血圧だけでなく糖尿病やコレステロールも気になる」
という方は、一度医療機関へ相談しましょう。
芦屋ながさわ内科では、高血圧について循環器専門医が診療し、血圧だけでなく、糖尿病・脂質異常症なども含めて将来の心血管リスクを総合的に評価します。
健康診断の結果や家庭血圧の記録をお持ちのうえ、お気軽にご相談ください。
記事監修
監修医師:長澤 圭典
【資格・所属学会】
・医学博士
・日本循環器学会 循環器専門医
・日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
・日本心血管カテーテルインターベンション学会 専門医
・日本心臓リハビリテーション学会 心臓リハビリテーション指導士