2026年9月03日

健康診断や血液検査の結果を見て、
「BNPが100を超えているけれど大丈夫?」
「BNPが200、500と高かった」
「NT-proBNPが高いと言われたけれど、心不全なの?」
「BNPが高い場合は何科に行けばいい?」
と不安になっている方もいるのではないでしょうか。
BNPやNT-proBNPは、心臓に負担がかかったときに血液中で増える物質で、心不全を評価する際に用いられる重要な血液検査です。
ただし、BNP・NT-proBNPが高いからといって、数値だけで心不全と診断されるわけではありません。
年齢や腎機能、心房細動などの不整脈をはじめ、心不全以外の要因によって高くなることもあります。そのため、症状や診察所見、心電図、心エコーなどを組み合わせて判断することが重要です。日本循環器学会・日本心不全学会の2025年改訂版心不全診療ガイドラインでも、BNP・NT-proBNPは心不全診断に有用な検査である一方、他の検査結果と合わせた評価が必要とされています。
この記事のポイント
・BNP・NT-proBNPは心臓への負担を反映する血液検査です
・BNP 35pg/mL以上、NT-proBNP 125pg/mL以上では心不全の可能性を考えて評価します
・BNP 100pg/mL以上では心不全の可能性が高くなります
・BNP 200・500だからといって、数値だけで心不全の重症度は決まりません
・腎機能低下、年齢、不整脈などでも数値が高くなることがあります
・息切れ、むくみ、急な体重増加などを伴う場合は早めに医療機関へ相談しましょう
BNPとは?
BNPとは「B型ナトリウム利尿ペプチド」と呼ばれる物質です。
心臓に負担がかかり、心臓の壁が引き伸ばされるような状態になると、主に心室から分泌されます。
そのため血液中のBNPを測定することで、
「心臓にどの程度負担がかかっている可能性があるのか」
を判断する材料の一つになります。
特に心不全が疑われる患者さんでは、診断を補助するための血液検査として広く使用されています。
NT-proBNPとは?
NT-proBNPも、BNPと同じように心臓への負担を評価する際に使用される血液検査です。
心臓では「proBNP」という物質が作られ、それがBNPとNT-proBNPに分かれます。
そのため両者は関連していますが、BNPとNT-proBNPは数値の基準が異なります。
例えば、
「BNP 100pg/mL」と「NT-proBNP 100pg/mL」
を同じ意味として比較することはできません。
検査結果を見る際には、自分が測定したのがBNPなのかNT-proBNPなのかを確認しましょう。
BNPはいくつから高い?
日本心不全学会の「血中BNPやNT-proBNPを用いた心不全診療に関するステートメント2023年改訂版」では、BNP・NT-proBNPについて次のような目安が示されています。

ただし、この表だけを見て、
「BNPが100だから心不全」
「BNPが200だから重症」
「BNPが35未満だから絶対に心臓は大丈夫」
と判断するものではありません。
患者さんの症状や年齢、腎機能、心臓の状態などを含めて総合的に判断します。
BNP35以上と言われたら?
BNP 35pg/mL以上、NT-proBNP 125pg/mL以上は、現在の心不全診療において心不全の可能性を考える一つの目安です。
日本循環器学会・日本心不全学会の2025年改訂版ガイドラインでも、この数値以上の場合、特に高血圧や糖尿病など心不全の危険因子がある方では、必要に応じて胸部X線、心電図、心エコーなどによる評価が推奨されています。
ただし、
「BNP 40だったからすぐ治療が必要」
という意味ではありません。
症状がなく、数値が軽度上昇している場合には、患者さんの背景を確認しながら経過を見ることもあります。
BNP100は高い?心不全?
「BNP 100」という数値は、患者さんからよく相談される数値の一つです。
日本心不全学会では、
BNP 100~200pg/mL未満
NT-proBNP 300~900pg/mL未満
について、心不全の可能性が高い範囲として、心エコーなどを含めた心機能の評価や原因検索を行うことを示しています。
そのため、BNPが100を超えている場合には、
「少し高いだけだから放置してよい」
と自己判断するのではなく、医療機関へ相談することをおすすめします。
特に、
・階段を上ると以前より息切れする
・歩くだけで息苦しい
・足がむくむ
・横になると息苦しい
・最近急に体重が増えた
などの症状がある場合には、心不全などが隠れていないか確認することが大切です。
BNP200は高い?
BNPが200pg/mL以上の場合、日本心不全学会では高リスク心不全の可能性が高い範囲として位置づけています。NT-proBNPでは900pg/mL以上が対応する目安です。
ただし、
「BNP200以上=重症心不全」
と一律に診断できるわけではありません。
BNPは心不全以外の要因でも上昇するため、
・どのような症状があるか
・以前のBNPはいくつだったか
・心電図に異常がないか
・心エコーで心臓の機能に異常がないか
・腎機能はどうか
などを確認します。
初めてBNP200以上を指摘された場合には、一度循環器内科で相談するとよいでしょう。
BNP500と言われたら?
「BNPが500ありました」と言われると、不安になる方も多いと思います。
BNP500pg/mLは、日本心不全学会が示している200pg/mL以上の範囲を超えています。
そのため、心不全を含め、BNPが高くなっている原因を確認する必要があります。
ただし、BNP500という数字だけで、
「心不全のステージは○○」
「すぐ入院が必要」
「心臓がかなり悪い」
と決めることはできません。
同じBNP500でも、症状や腎機能、年齢、基礎疾患などによって意味が異なります。
数値そのものだけで判断せず、医療機関で詳しく評価を受けることが重要です。
BNP・NT-proBNPが高い=必ず心不全?
必ずしもそうではありません。
BNPやNT-proBNPは心不全を評価するうえで重要な検査ですが、心不全以外の要因でも上昇することがあります。
例えば、
・加齢
・腎機能の低下
・心房細動などの不整脈
・心臓弁膜症
・肺高血圧症
・急性冠症候群などの心疾患
などによって高値になる場合があります。
反対に、肥満がある方などでは、心不全があってもBNP・NT-proBNPがそれほど上昇しない場合があります。日本心不全学会も、数値だけで心不全を判断せず、症状やその他の検査を含めて評価する必要があるとしています。
腎機能が悪いとNT-proBNPは高くなる?
はい。腎機能はBNP・NT-proBNPの数値に影響します。
特にNT-proBNPは腎機能の影響を受けやすく、腎機能が低下している方では、心不全がなくても数値が高くなる場合があります。
そのため、
「NT-proBNPが高い=心臓だけに原因がある」
とは限りません。
クレアチニンやeGFRなど、腎機能の検査結果も確認しながら判断します。
BNPが高いときに注意したい症状
BNP・NT-proBNPが高いと言われた場合には、数値だけでなく自分の症状も確認してみましょう。
特に注意したいのが、
・以前より階段で息切れする
・少し歩くだけで息苦しくなる
・足やすねがむくむ
・靴下の跡がなかなか消えない
・横になると息苦しい
・夜中に息苦しくて目が覚める
・数日で体重が増えた
・動悸がする
・強い倦怠感がある
といった症状です。
心不全では、心臓が十分に血液を送り出せなくなったり、体内に水分がたまったりすることで、息切れやむくみなどがみられることがあります。
一方で、これらの症状は心不全以外の病気でも起こるため、症状だけで判断することはできません。
息苦しさが強い場合は早めに受診してください
BNP・NT-proBNPが高く、
・安静にしていても息苦しい
・横になることができないほど苦しい
・急激に呼吸が苦しくなった
・胸の痛みを伴っている
・意識状態がおかしい
といった症状がある場合には、通常の外来予約を待つのではなく、緊急性のある病気も考えて速やかな受診が必要になることがあります。
特に症状が急激に悪化している場合には、救急受診も検討してください。
BNPが高い場合はどんな検査をする?
BNP・NT-proBNPが高い場合には、数値だけを見て診断するのではなく、必要に応じてさまざまな検査を組み合わせます。
心電図検査
心臓の電気的な活動を記録します。
不整脈や心臓への負担を示す変化などがないかを確認します。
心エコー検査
超音波を使って心臓の動きを確認する検査です。
・心臓の収縮機能
・心臓の大きさ
・心臓の壁の厚さ
・心臓の弁の状態
・拡張機能
などを評価します。
BNPが高い原因を調べるうえで重要な検査の一つです。
胸部レントゲン検査
心臓が大きくなっていないか、肺に水がたまっていないかなどを確認します。
血液検査
BNP・NT-proBNPだけでなく、
・腎機能
・貧血
・電解質
・甲状腺機能
などを患者さんの状態に応じて確認する場合があります。
日本心不全学会では、BNP 35pg/mL以上またはNT-proBNP 125pg/mL以上で心不全の危険因子がある場合、胸部X線、心電図、心エコーなどによる評価を行うことを示しています。
BNPが高くても心エコーが正常なことはある?
あります。
心エコーでは心臓のポンプ機能を評価しますが、心不全には「心臓の収縮する力」が大きく低下していなくても起こるタイプがあります。
これを「左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)」と呼びます。
特に高齢者や高血圧、糖尿病、肥満などを背景としてみられることがあります。
そのため、
「心臓の収縮力が正常だった=心不全は絶対にない」
とは限りません。
症状、BNP・NT-proBNP、心エコーのさまざまな指標などを総合して評価します。2025年改訂版心不全診療ガイドラインでも、BNP・NT-proBNPはHFpEFを含む心不全診断の重要な指標として位置づけられています。
BNPが高い場合は何科を受診する?
BNP・NT-proBNPの高値を指摘された場合には、循環器内科への相談をおすすめします。
特に、
・BNP100以上を指摘された
・BNP200以上だった
・NT-proBNP300以上だった
・息切れやむくみがある
・心電図異常も指摘された
・心拡大を指摘された
・高血圧や心臓病の治療を受けている
という場合には、心臓の状態を確認することが大切です。
芦屋ながさわ内科では、循環器内科として心不全や高血圧、不整脈などの診療を行っており、診察内容に応じて心電図、心エコー、胸部X線、血液検査などを検討します。同院の既存ページでも、NT-proBNP、心エコー、胸部X線などを心不全評価に用いることが掲載されています。
よくある質問
BNP100は心不全ですか?
BNP100pg/mL以上では心不全の可能性が高くなるとされていますが、BNP100だけで心不全と確定するわけではありません。
症状や心エコー、心電図などを含めて判断します。
BNP200は入院が必要ですか?
BNP200pg/mL以上は高リスク心不全の可能性を考える範囲ですが、BNPの数値だけで入院の必要性を判断することはできません。
息苦しさなどの症状や心臓の状態を確認する必要があります。
BNP500はかなり高いですか?
BNP500pg/mLは、日本心不全学会が示す200pg/mL以上の範囲を超えています。
原因を確認する必要がありますが、数値だけで重症度や治療内容を決めるわけではありません。
NT-proBNP300は高いですか?
日本心不全学会では、NT-proBNP300~900pg/mL未満を心不全の可能性が高い範囲としています。
医療機関で原因について確認することをおすすめします。
BNPが高くても症状がなければ大丈夫ですか?
症状がなくても、心臓の構造的・機能的な異常が隠れている場合があります。
BNP・NT-proBNPが高い場合には、症状がないからと放置せず、検査を行った医療機関や循環器内科へ相談してください。
BNPとNT-proBNPはどちらが正確ですか?
どちらも心不全診療に用いられる重要な検査です。
それぞれ特徴や基準値が異なるため、一概にどちらが優れているというものではありません。測定された検査に応じた基準で評価します。
BNP・NT-proBNPの高値を指摘された方は芦屋ながさわ内科へ
「BNPが100を超えていた」
「BNP200・500と言われて不安」
「NT-proBNPが高かった」
「最近、息切れやむくみが気になる」
という場合には、検査結果を自己判断せず、一度医療機関へ相談しましょう。
BNP・NT-proBNPは心不全を評価するうえで重要な検査ですが、数値だけで病気の有無や重症度を判断するものではありません。
芦屋ながさわ内科では、循環器内科として心不全をはじめ、高血圧、不整脈などの心臓・血管に関する診療を行っています。
受診される際には、BNP・NT-proBNPが記載された血液検査結果や健康診断結果、過去の検査結果、お薬手帳などをお持ちください。
息苦しさが急激に悪化している場合や、強い胸痛、意識障害などを伴う場合には、通常の外来診療を待たず救急受診を検討してください。
記事監修
監修医師:長澤 圭典
【資格・所属学会】
・医学博士
・日本循環器学会 循環器専門医
・日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医
・日本心血管カテーテルインターベンション学会 専門医
・日本心臓リハビリテーション学会 心臓リハビリテーション指導士