2026年7月31日

「健康診断の結果に『心雑音』と書かれていた」
「聴診のとき、先生が胸の音をじっと聞いていて不安になった」
「特に症状はないけれど、放っておいて大丈夫なの?」
芦屋市周辺にお住まいの皆様、こんにちは。芦屋ながさわ内科です。
健康診断で「心雑音(しんざつおん)」を指摘されると、心臓のことだけに、どきりとされる方も多いのではないでしょうか。一方で、自覚症状が何もないために、「まあ大丈夫だろう」と結果表をしまい込んでしまう方も少なくありません。
心雑音には、まったく心配のいらないものと、「心臓弁膜症」という早めの対応が必要な病気のサインである場合があります。今回は、循環器専門医の視点から、心雑音の正体と、その背後に隠れる弁膜症について解説します。
そもそも「心雑音」とは何の音?
私たちの心臓には4つの部屋があり、それぞれの間に「弁(べん)」という扉がついています。この弁が正しく開いたり閉じたりすることで、血液が逆流せず、効率よく全身に送り出されています。
健康な心臓の音は「ドックン、ドックン」と規則正しく聞こえます。この「ドッ」と「クン」は、それぞれ弁が閉じるときの音です。ところが、弁がうまく開かなかったり、閉じきらずに血液が逆流したりすると、狭い隙間を血液が勢いよく通過して乱れた流れ(乱流)が生じ、「ザーッ」「シャーッ」といった余分な音が加わります。これが「心雑音」です。
医師は聴診の際、この雑音が胸のどのあたりで大きく聞こえるか、心臓が縮むときの音か広がるときの音か、といった特徴から、どの弁に問題がありそうかを推測しています。健診で先生が胸に聴診器を当ててじっと聞いているのは、まさにこの心音を丁寧に確認しているのです。
心雑音には「心配ないもの」と「注意すべきもの」がある
大切なのは、すべての心雑音が病気というわけではない、という点です。
心配のいらない心雑音(機能性雑音)
体が細い方や、貧血、発熱、妊娠中、あるいは甲状腺の働きが活発なときなどは、心臓に異常がなくても血流が速くなり、雑音が聞こえることがあります。これらは治療の必要がないことがほとんどです。
注意すべき心雑音
一方、心臓の弁そのものに異常が起きている「心臓弁膜症」が原因の場合は、経過の観察や治療が必要になります。この両者を聴診だけで完全に区別するのは難しく、正確な診断には後述する心エコー検査が欠かせません。
高齢化で増えている「心臓弁膜症」
心臓弁膜症は、弁が硬くなって開きが悪くなる「狭窄症(きょうさくしょう)」と、弁が閉じきらずに血液が逆流する「閉鎖不全症(へいさふぜんしょう)」の2つに大きく分けられます。
近年、高齢化に伴って特に増えているのが「大動脈弁狭窄症」です。これは、心臓の出口にある大動脈弁が、加齢や動脈硬化によって硬く狭くなる病気です。血液を送り出すために心臓が余分に働き続けるため、やがて心臓が疲れ、心不全につながることがあります。
弁膜症の怖いところ:「無症状のまま進行する」
心臓弁膜症の最も注意すべき点は、初期には自覚症状がほとんどないことです。そのため、健診の心雑音がきっかけで初めて見つかるケースが多いのです。
病気が進行してくると、次のような症状が現れます。
・階段や坂道で、以前より息切れするようになった
・動悸を感じる
・足がむくむ
・胸の痛みや圧迫感がある
・めまいや失神(特に大動脈弁狭窄症の場合、運動時に起こることがあります)
なぜ聴診と心エコーが重要なのか
弁膜症は、心電図やレントゲンに変化が現れるのは、ある程度病気が進行してからです。しかし、心雑音は聴診さえ行えば、症状のない早い段階から聞こえてきます。だからこそ、聴診による心雑音の指摘は、弁膜症を早期に発見する最も重要な糸口なのです。
芦屋ながさわ内科では、心雑音を指摘された方に対し、循環器専門医が以下の検査を行います。
心エコー(心臓超音波)検査:ゼリーを塗った機械を胸に当てるだけの、痛みのない検査です。動いている心臓をリアルタイムで観察し、どの弁に、どの程度の異常があるのかを詳しく評価できます。弁膜症の診断に最も欠かせない検査です。
心電図・胸部レントゲン・血液検査:心臓への負担の程度を総合的に判断します。(→ 健診で「心電図異常」「心拡大」を指摘された方は、それぞれの記事もあわせてご覧ください)
「心配のいらない雑音なのか、それとも治療が必要な弁膜症なのか」。これを一度きちんと確認しておくことが、何よりの安心につながります。
弁膜症と診断されたら
弁膜症と診断されても、すぐに手術が必要になるわけではありません。軽度〜中等度であれば、定期的に心エコーで経過を観察しながら、血圧などの基礎疾患を管理していくのが基本です。
重症になった場合は、人工弁を用いた手術や、体への負担が少ないカテーテル治療という選択肢もあります。当院では、専門的な治療が必要と判断した場合、連携する高度医療機関へスムーズにご紹介する体制を整えています。まずはご自身の弁の状態を「知る」ことが第一歩です。
弁膜症を早く見つけるために、日頃からできること
心臓弁膜症は、多くが加齢に伴って進行します。特に大動脈弁狭窄症は、弁の「老化」の影響を強く受けるため、高齢の方ほど注意が必要な病気です。だからこそ、定期的に心臓の音を聴いてもらう機会を持つことが、早期発見につながります。
健診の心雑音・心電図の指摘を放置しない:無症状でも、一度は心エコーで確認しておくと安心です。
年齢を重ねたら、定期的な聴診を:ご高齢の方は、かかりつけ医での聴診を習慣にしましょう。
「歳のせい」で片づけない:階段での息切れや動悸を、加齢のせいだと決めつけないことが大切です。
弁膜症と診断された方も、定期的に心エコー検査を受け、悪化がないかを観察していくことで、適切なタイミングで次の対応を判断できます。「見つかった」ことは、むしろ「備えられるようになった」ということでもあります。
まとめ:芦屋で心雑音を指摘されたら
心雑音は、患者様ご自身では気づくことができません。だからこそ、健診で指摘されたことには意味があります。多くは心配のないものですが、中には早期発見が大切な心臓弁膜症が隠れていることもあります。
「症状がないから」と放置せず、一度心エコー検査でご自身の心臓の状態を確認してみませんか。芦屋市周辺で心雑音を指摘された方は、どうぞお気軽に芦屋ながさわ内科へお越しください。循環器専門医が、丁寧な検査と分かりやすい説明で、皆様の不安を安心に変えるお手伝いをいたします。