健康診断で「心拡大」を指摘された方へ
健康診断で「心拡大」を指摘された方へ
胸部レントゲン検査は、X線を利用して胸の中の様子を「影」として映し出す検査です。心臓は筋肉でできた臓器のため、レントゲン写真の中では白い影として映ります。医師は心臓全体の横幅に対して心臓の横幅がどれくらいの割合を占めているかを確認しており、この割合のことを「心胸比(CTR)」と呼びます。一般的に、心胸比が50%を超えると「心拡大」と表現されます。
心臓は、全身に血液を送り出すポンプとして、1日に約10万回もの拍動を繰り返しています。この働きに何らかの負担がかかると、心臓の筋肉が厚くなったり、血液を溜め込む部屋が広がったりすることで、レントゲン上のシルエットに変化が現れることがあるとされています。心拡大は、こうした心臓の変化を映し出す手がかりのひとつとして位置づけられています。
健康診断の結果表に「心拡大」「心陰影拡大」「心胸比拡大」といった言葉が並んでいると、重い病気があるのではと驚かれる方も多いかと思います。ただし、レントゲンで指摘される「心臓の大きさ」は、それ自体が病名を表すものではなく、心臓に何らかの負担がかかっている可能性を示すサインのひとつとされています。実際には、体型や撮影の条件によって、実際の心臓の状態以上に大きく映ってしまうこともあり、指摘を受けた方全員に心臓の病気が見つかるわけではございません。
一方で、心拡大の背景に、治療や経過観察が必要な心臓の変化が隠れている場合もあるとされています。レントゲン写真だけで「心配なし」か「検査が必要な場合」を見分けることは難しいため、指摘を受けた際は自己判断せず、一度専門的な評価を受けていただくことが安心につながります。本記事では、心拡大と指摘された際に考えられる原因や、あわせて確認したい症状、検査の内容、受診の目安についてご紹介いたします。
「心臓が大きい」と指摘される背景には、いくつかの異なるパターンがあるとされています。
心臓の筋肉が厚くなっている場合(心肥大)
長年にわたる高血圧などにより、心臓が強い力で血液を送り出し続けた結果、心臓の筋肉が厚くなっている状態です。筋肉が内側に向かって厚くなるため、レントゲン上は心胸比が正常範囲内にとどまることも多いとされていますが、程度によっては心拡大とあわせて指摘されることもございます。心肥大は、レントゲンよりも心電図や心エコー検査によって指摘されることが多いとされています。
心臓の部屋が広がっている場合(心拡大)
心臓のポンプ機能が低下し、血液を十分に送り出せずに内部に溜まりやすくなることで、心臓の部屋そのものが広がっている状態です。心筋梗塞の後や、心筋症など心臓の筋肉そのものに問題がある場合に生じることがあるとされ、心不全につながる可能性がある変化のひとつとされています。
体型や撮影条件によるもの
息を深く吸い込めていなかったり、もともとの体格や横隔膜の位置、腹部の脂肪の付き方などにより、実際には心臓に大きな変化がなくても、レントゲン上では大きく映ってしまうことがあるとされています。同じ方でも、撮影のタイミングや体調によって心胸比の値が多少変動することもございます。
レントゲンはあくまで心臓の「影」を映し出しているものであり、影が大きく見える理由が「筋肉の厚み」なのか「部屋の広がり」なのか、あるいは「映り方によるもの」なのかを、レントゲン写真だけで判別することは難しいとされています。そのため、心エコー(心臓超音波)検査などによる評価をあわせて行うことが望ましいと考えられています。心肥大と心拡大は、どちらも「心臓が大きい」と表現されがちですが、原因や今後の見通しの考え方が異なる場合があるため、混同せずに整理しておくことが大切です。
心拡大は、初期の段階では自覚症状を伴わないことも多いとされていますが、次のような症状がある場合には、心臓に何らかの負担がかかっている可能性も考えられます。
✓階段や坂道で以前より息切れしやすくなった
✓足や顔にむくみを感じる
✓動悸や胸の違和感を感じることがある
✓疲れやすく、だるさが続いている
✓夜間、横になると息苦しさを感じ、起き上がると楽になる
✓体重が急に増えた、あるいは食欲が落ちている
これらの症状は心拡大の原因によって現れ方が異なり、必ずしも該当するというわけではございませんが、心拡大の指摘とあわせて気になる症状がある場合には、早めのご相談をおすすめいたします。また、症状が全くない場合でも、心臓に何らかの変化が生じている可能性は否定できないため、症状の有無だけで安心・心配を判断することは難しいとされています。
心拡大を指摘された場合、当院では主に次のような検査をご案内しております。
心臓超音波(心エコー)検査
超音波を用いて、心臓の大きさや壁の厚さ、部屋の広がり、ポンプ機能、弁の状態などを直接観察する検査です。痛みや被ばくの心配がなく、レントゲンの「影」の正体が何であるかを評価するうえで中心となる検査とされています。心臓の4つの部屋のうち、どこがどの程度広がっているのかも確認することができます。
心電図検査
心臓の電気的な活動を記録し、不整脈や心臓への負担の有無などを確認します。健診でも行われる基本的な検査で、体への負担なく受けていただけます。
血液検査
心臓に負担がかかっている際に上昇するとされる指標(BNPなど)や、貧血、甲状腺機能などを確認する場合がございます。
胸部レントゲンの再確認
過去のレントゲン写真がある場合は、それと比較することで、心臓の大きさに変化があるかどうかを確認できることがございます。お手元に過去の健診結果表がございましたら、あわせてお持ちいただけますと診察の参考になります。
これらの検査を通じて、経過観察で問題ないと考えられる場合もあれば、原因疾患に応じた治療や、より専門的な医療機関との連携が必要と判断される場合もございます。初診では、まず問診と聴診を行い、これまでの経過(いつから指摘されているか、症状の有無など)をおうかがいした上で、必要に応じて心エコー検査や心電図検査などをご案内しております。検査の順序や内容は、健診結果の内容やその日の状態によって異なりますので、ご不明な点があれば診察の際にお気軽にご質問ください。
次のような場合には、放置せず一度医療機関にご相談いただくことをおすすめいたします。
✓健康診断や人間ドックで心拡大、心胸比拡大を指摘された
✓心拡大の指摘とあわせて、息切れやむくみ、動悸などの症状がある
✓過去の健診結果と比較して、心臓の大きさが変化していると言われた
✓高血圧や糖尿病など、心臓に負担をかけやすい持病がある
✓「心拡大」の意味や、今後どのように過ごせばよいか詳しい説明を受けたい
自覚症状がない場合でも、心臓のポンプ機能の低下は徐々に進行することがあるとされており、症状が出てから受診するのではなく、指摘された時点で一度検査を受けていただくことが、安心につながる場合もございます。「以前から少しずつ指摘されているだけだから」と様子を見続けるのではなく、変化の有無を定期的に確認していくことも大切です。
心拡大は、それ自体が特定の病名を意味するものではなく、体型や撮影条件によるものから、心肥大、心臓の部屋の広がりまで、背景にはさまざまな要因が考えられます。レントゲン写真だけでは、その正体を正確に判断することが難しいとされているため、気になる指摘を受けた際は、心エコー検査などによる評価をおすすめいたします。
当院では、循環器を専門とする医師が、心エコー検査や心電図検査などを通じて、心臓の状態を丁寧に確認してまいります。検査の結果は、できるだけわかりやすい言葉でご説明するよう努めておりますので、健診の結果表をお持ちいただければ、記載内容を確認しながらご説明いたします。「心拡大と言われたが何をすればよいかわからない」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。JR芦屋駅から徒歩3分というアクセスのしやすさを活かし、お忙しい方にも通っていただきやすい環境を整えております。
Q.「心拡大」と言われましたが、これは病気の名前でしょうか?
A.心拡大は病名ではなく、レントゲン写真上で心臓の影が基準より大きく見えている状態を指す所見です。背景には、心臓の変化によるものから、体型や撮影条件によるものまで、さまざまな要因が考えられます。
Q.健診の結果表に「心胸比〇〇%」と書かれていますが、どう見ればよいですか?
A.一般的に、心胸比が50%を超えると「心拡大」と表現されます。ただし、この数値だけで心臓の状態を正確に判断することは難しいとされており、心エコー検査などによる確認が望ましいと考えられています。
Q.症状は特にありませんが、それでも受診したほうがよいですか?
A.心拡大は、初期の段階では自覚症状を伴わないことも多いとされています。症状がない場合でも、心臓に何らかの変化が生じている可能性は否定できないため、指摘を受けた時点で一度検査を受けていただくことをおすすめいたします。
Q.太っている影響で心臓が大きく映ることはありますか?
A.はい、体型や横隔膜の位置、撮影時の呼吸の状態などにより、実際の心臓の状態以上に大きく映ってしまうことがあるとされています。ただし、これはレントゲン写真だけでは判断が難しいため、心エコー検査などで確認することが望ましいと考えられています。
Q.心肥大と心拡大は何が違うのですか?
A.心肥大は心臓の筋肉そのものが厚くなっている状態、心拡大は心臓の部屋(内腔)が広がっている状態を指すとされています。レントゲン写真だけではどちらであるかを正確に判断することが難しく、心エコー検査によって評価することが一般的です。
Q.前回の健診より心胸比の数値が上がっていました。心配すべきでしょうか?
A.過去の結果と比較して数値に変化がある場合は、一度検査による確認をおすすめいたします。撮影条件によるわずかな変動であることもございますが、実際に心臓の状態が変化している可能性も否定できないため、自己判断せずご相談ください。
Q.心拡大を指摘されたら、必ず心不全なのでしょうか?
A.心拡大が心不全のサインのひとつであることはございますが、心拡大イコール心不全というわけではございません。心拡大の原因や心臓のポンプ機能の状態によって考え方が異なりますので、検査によって評価することが大切です。
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