睡眠時無呼吸症候群の検査の流れと費用
睡眠時無呼吸症候群の検査の流れと費用
「寝ているときに呼吸が止まっていると言われたけれど、検査って痛いのだろうか?」
「病院で検査を受けるとなると、入院が必要で費用も高くつくのでは?」
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがあると言われても、このように検査に対する不安や疑問から、医療機関への受診をためらってしまう方は少なくありません。
しかし、ご安心ください。現代の睡眠時無呼吸症候群の検査は、仕事や日常生活を犠牲にすることなく、すべて「ご自宅」で受けることが可能です。もちろん、健康保険も適用されます。
本記事では、自宅でできる2つの睡眠検査(簡易検査・精密検査)の具体的な流れから、一番気になる費用目安、そして検査にまつわる疑問まで、内科医の視点から分かりやすく、かつ専門的に解説します。
結論から申し上げますと、睡眠時無呼吸症候群の検査に痛みは一切ありません。また、病院に入院する必要もありません。
かつては「精密検査といえば一泊入院が必要」という時代もありましたが、現在は医療機器の小型化・進歩により、簡易検査だけでなく、より詳細なデータを取得する精密検査(PSG検査)も、普段お使いのベッドや布団の上で、リラックスした状態のまま受けることができるようになっています。
検査の基本的な流れは、
「クリニックで医師の診察を受ける」
↓
「自宅に検査機器が届く」
↓
「機器を装着して一晩眠る」
↓
「機器を返却して後日結果を聞く」
という非常にシンプルなものです。
仕事や家事で忙しい方でも、ライフサイクルを崩さずに安心して検査を受けていただけます。
医師の診察を受け、無呼吸の疑いがあると判断された場合、最初に行うのが「簡易睡眠検査(パルスオキシメトリ・携帯用睡眠アプノモニター検査)」です。
手の指先と鼻の2箇所に小さなセンサーを装着し、普段通りに就寝していただく検査です。
この検査では、主に以下のデータを測定します。
最大のメリットは、「とにかく手軽で、痛みがゼロ」という点です。
センサーをテープやシリコンのホルダーで体に固定するだけなので、注射のような痛みは一切ありません。機器自体も手のひらサイズで非常に軽く、寝返りを打つことも可能です。普段通りの環境で眠るため、正確な睡眠状態を測定しやすいという特徴もあります。
簡易睡眠検査の結果、数値がグレーゾーンであった場合や、より正確な病態を把握して治療方針を決定するために、次のステップとして「精密睡眠検査(PSG:ポリソムノグラフィー検査)」を行うことがあります。
最初の簡易検査で、1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI)が「30回以上」かつ明確な症状がある場合は、その時点で重症と診断され治療に進むことができます。
しかし、数値が「30回未満」の中等症のゾーンだった場合は、本当に治療が必要なレベルなのかを確定させるために、この精密検査が必要となります。
精密検査では、簡易検査の項目(酸素濃度や呼吸の流れ)に加えて、「脳波」「心電図」「眼球の動き」「筋肉の動き(あごの緊張)」などを測定するセンサーを頭や顔、胸に追加で装着します。
「そんなにたくさんのセンサーを自分でつけられるのか」と不安になるかもしれませんが、専門の検査会社から自宅にわかりやすい取扱説明書や動画解説付きのキットが届きます。装着手順はシステム化されているため、ご自身、あるいはご家族の協力を得ながら簡単にセットすることが可能です。
脳波を測定することで、「本当に眠っているのか」「睡眠の質(深い眠り・浅い眠り)はどうなっているか」までを正確に分析できるため、無呼吸症候群の最も確実な診断を下すことができます。もちろん、この精密検査もご自宅での睡眠で完結します。
睡眠時無呼吸症候群の検査は、医師が必要と判断した場合はすべて健康保険(公的医療保険)が適用されます。
以下に、一般的な3割負担の方が窓口で支払う検査費用の目安をまとめました。
| 検査の種類 | 検査の場所 | 費用の目安(3割負担) | わかること・特徴 |
|---|---|---|---|
| ①簡易睡眠検査 | 自宅 | 約2,000円〜3,000円 | 睡眠中の酸欠状態、呼吸の有無を調べるスクリーニング検査。 |
| ②精密睡眠検査 (在宅PSG) |
自宅 | 約10,000円〜15,000円 | 脳波や睡眠の深さまで測定し、確実な診断を行うための詳細な検査。 |
※上記の金額は純粋な「検査料」の目安です。このほかに、初診料や再診料、その他の処置料などが数百円〜数千円程度、別途かかります。
※1割負担・2割負担の患者様は、上記の金額のそれぞれ3分の1、3分の2の金額が目安となります。
このように、簡易検査であれば数千円、より高度な精密検査であっても自宅で行う場合は1万円〜1万5千円前後の自己負担で受けることができます。大きな出費を心配することなく、病気の有無を明確にすることが可能です。
費用や手軽さがわかったところで、「自分は本当に検査を受けるべきなのだろうか」と迷われている方は、以下の症状に当てはまるものがないかチェックしてみてください。
これらの中に2つ以上当てはまるものがある場合、あるいは家族から睡眠中の呼吸停止を指摘されている場合は、年齢や体型(痩せ型でも骨格の影響があります)に関わらず、早めに検査を受けることを強くお勧めします。
まずは身近な「内科」の受診をお勧めします。睡眠時無呼吸症候群は、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病と非常に深い関わりを持っています。内科であれば、無呼吸の検査だけでなく、それらの持病への影響も含めて全身をトータルに診察・管理できるため、最初の窓口として最適です。
原則として、受診当日の持ち帰りはできません。医師が診察して検査が必要と判断した後、医療機器メーカーや検査会社からご自宅へ検査キットが直接配送される仕組みになっています(数日から1週間程度で届きます)。自宅に届いたらご自身のタイミングで検査を行っていただきます。
検査当日の飲酒は原則として控えていただきます。アルコールには筋肉を緩める作用があるため、お酒を飲んで寝ると、普段以上に無呼吸の症状が強く出てしまい、正確な「日常の睡眠状態」が測定できなくなるためです。同様に、過度なカフェイン摂取や激しすぎる運動も避けてください。
検査中にトイレに起きても問題ありません。機器を装着したまま、あるいは一時的にコードを外して(機器の仕様によります)トイレに行っていただき、戻ったらそのまま眠っていただければ結構です。一晩のうちに数時間以上のデータが記録されていれば、解析は十分に可能です。
睡眠薬などの常用薬がある場合は、必ず事前に医師にご相談ください。自己判断で薬を中止すると体調を崩す原因になりますが、薬の種類によってはいびきや無呼吸を助長するものもあるため、医師の指示に従って「いつも通り服用して検査する」か「その日だけ控える」かを決定します。
はい、お一人でも装着できるように工夫されたキットが届きます。カラーの図解マニュアルや、スマートフォンで見られる解説動画などが同封されていますので、手順通りに行えば難しくありません。どうしても不安な場合は、ご家族の方に手伝ってもらうとよりスムーズです。
極端に睡眠時間が短かった場合(例:2時間未満など)は、十分なデータが取れずにやり直し(再検査)になることがありますが、一般的に4〜5時間以上の睡眠データが残っていれば解析可能です。緊張して寝付けない場合でも、横になって静かにしている時間を含めて記録されていれば大丈夫なケースが多いです。
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